講座紹介

教授挨拶

櫻庭裕丈

令和4年6月1日より福田眞作教授の後任として弘前大学大学院医学研究科消化器血液内科学講座教授を拝命いたしました。

消化器血液内科学講座(第一内科学講座)は、1946年の発足以来、消化器病学、血液病学、リウマチ・免疫学、がん治療学、心身医学といった幅広い分野の臨床・研究・教育を主に担当して参りました。これまで600名余りの同門の先輩を輩出している伝統とそのチーム力が私たちの誇りです。

内視鏡機器や技術の進歩、画像モダリティの進歩や遺伝子診断の普及、あらゆる分野で開発される分子標的治療、そして人工知能の活用など、近年の医学の進歩は私たちの診療に大きな変化をもたらしました。これまでの伝統を継承し、一つのチームとして、診療技術及び専門性の追求に偏向することなく、幅広い内科的知識と医師としての人間性に基づいた全人的包括医療を実践することで、最新で最良の医療を提供し、かつその延長にある弘前大学でしかできない医学研究を世界に発信して参ります。

教育については、始めに幅広い全身性内科疾患診療を通じて、どんな時も医学的な病態把握と患者様の全体像との二つの面から最良の医療を考えることができる医師としての技量と人間力を涵養することを目指します。また、新専門医制度に基づき、全員が内科専門医取得に続きサブスペシャリティ領域の専門医取得と共に医学博士取得を目指します。

診療においても病態と患者様の背景を考える医療の実践を心がけています。また特定機能病院として各領域の専門性の高い難治性疾患に対して最良の高度医療を提供し、地域医療連携を通じて県内のどこに住んでいても最良の医療が受けられるように全力を尽くします。さらに、国際共同治験、医師主導臨床試験などを通じて難治性疾患の最新治療の提供を推進します。

研究分野では、分子生物学、病理学、感染生体防御学、医療情報学などの医学分野だけでなく農学部、理工学部あるいは地元の企業との領域横断的な共同研究を推進しています。難治性疾患の病態を様々な角度から研究することでその本質に迫る成果が期待でき、幅広い分野との連携が可能な当講座にしかできない画期的な研究成果を発信していきます。

教育・診療・研究に対して、誠実に、謙虚に、そして熱心に取り組んで参ります。新型コロナウイルス感染症パンデミック下においては、人と人とのつながりの大切さが再認識されています。ポストコロナの先にある明るい未来へ向けて、患者様を思う気持ち、同僚、先輩、後輩、職場のスタッフみんなと助け合う気持ちを大切に、病気と闘い続ける勇気と情熱を持っている先生、ぜひ仲間に加わり一緒に進みませんか?

弘前大学大学院医学研究科消化器血液内科学講座 教授
弘前大学医学部附属病院消化器血液膠原病内科 科長
櫻庭裕丈

沿革

当講座(旧内科学第一講座)は、1946年(昭和21年) 初代教授、故松永藤雄先生が東北帝国大学より青森医学専門学校に赴任したのが端緒であります。1948年(昭和23年)に弘前医科大学、1952(昭和27年)年には弘前大学医学部へ改称し、以来70年にわたって600名余りの同門諸氏の先輩を輩出している歴史ある講座です。現在まで、青森県の消化器病学、血液病学、リウマチ・免疫学、心身医学の臨床・研究・教育を主に担当してきました。

松永先生は、就任より当講座の消化器病学の臨床・研究・教育の礎を築きました。1961年(昭和36年)には第3回消化器病学会秋季大会会長を務め、1966年(昭和41年)に大腸ファイバースコープを開発しました。1974年(昭和49年)には医学部長に就任しました。

1975年(昭和50年)には、第2代教授として吉田 豊先生が就任しました。吉田先生は、1993年(平成5年)に第35回日本消化器病学会大会(第1回 JDDW)会長を務めました。また、免疫学的便潜血反応を開発に尽力し、これを用いた大腸がん集団検診の方式を確立しました。1988年より医学部長3期6年、1996年より弘前大学長を2期6年務めました。

1996年(平成8年)には、第3代教授に棟方昭博先生が就任しました。棟方先生は、松永初代教授のもとで大腸内視鏡の開発に携わり、その後も大腸内視鏡検査の診断・内視鏡治療についての研究を重ね、業績を積み重ねました。また、厚生労働省の「難治性炎症性腸管障害調査研究班」の班員として長年にわたり活躍しました。2006年(平成18年)に第61回日本大腸肛門学会総会会長、2007年(平成19年)には第93回日本消化器病学会総会会長を務めました。2004年(平成16年)より附属病院長を務めました。

2007年(平成19年)より、第4代教授として福田眞作教授が就任しました。福田先生は、糖質・食物繊維の消化吸収、感染症、内視鏡治療学などのさまざまな臨床学的研究を行ってきました。2016年(平成28年)に附属病院長に就任し、大学病院の運営・管理に尽力しました。2017年(平成29年)には、第10回日本カプセル内視鏡学会学術集会会長を務め、2019年(令和元年)には第98回日本消化器内視鏡学会(JDDW2019)会長を務めました。さらに2020年(令和2年)には弘前大学学長に就任し、「世界に発信し、地域と共に創造する」というスローガンのもと教育研究はもちろん、社会貢献に資する人材育成に取り組むとともにコロナ下を克服すべく「日本一学生に優しい大学」を目指しています。

松永藤雄 名誉教授
松永藤雄 名誉教授
(初代 1946~1975)
吉田豊 名誉教授
吉田豊 名誉教授
(2代 1975~1996)
棟方昭博 名誉教授
棟方昭博 名誉教授
(3代 1996~2007)
福田眞作 学長
福田眞作 学長
(4代 2007~2022)

当講座出身では、中路重之学長特別補佐(健康未来イノベーションセンター長)、佐々木賀広教授(医療情報学講座)、玉井佳子教授(輸血・再生医学講座)、山田康秀教授(浜松医科大学臨床腫瘍学講座)、山形和史教授(保健学科検査技術科学)、佐藤研教授(弘前大学健康管理センター長)、三上達也教授(先制医療学講座)がご活躍中です。